ロックシンガーへの手紙


ここに居る自分の意味を失って消え去りたいと昨日想いしを

生きるすべ見つからぬ朝なつかしき友のようにあなたを聴けり

ひしがれし奥底までも沁みてくる「放熱への証」あふるる真情

死語のごと忘られし愛と真実を信じて求めるあなたが居たり

短き生、惜しみて切なしその歌の生きゆく指針を示していれば

クリスマスソング鎮もる自己のみを深く見つめる眼差し蒼く

その声もそのメロディも詩の言葉も悲しく優しく強さに満てり

星となりし母に差し出すその腕のあたたかく空へひろがりてゆく

ロッカーゆえ翻弄される名を悼みしが、それもあなたへの入口ならば

パフォーマンスめいっぱいのあなたが叫ぶライヴビデオにたましい揺れる

生前を知らぬわたしに迫り来る凝縮された生きざま激しく

本心で本気でいのちを投げ出して生きてる人がここに居る、と。

さらけ出すあなたの痛みがそのままにわたし自身の痛みとなりぬ

捕らわれてライヴビデオ見るあいだ、こころに鳥肌立ちしを憶ゆ

ぼうぜんと座していたり存在の根底までも問われた気がして

わたくしの過去をそっと振り返る。語るべきもの残して来たかと

内にある汚れも清さも光のなかへ曝して自分を洗いつくしたい

見も知らぬあなたを深く受け容れる不思議はたましいレベルのしわざ

伝えられしは潔く誠実に生き抜くこと愛し抜くこと 狂おしきまで




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