瞬きのあいだ

十七歳を境に逝くのか少年期、しきりにこだわる息子の誕生日

少年と青年のはざまに居るきみの眼差しは遠く哀しく透明

いつの日か同じ眸をした少年たちと同じ夢を見ていっしょに泣いたね

うら若く学校職員の仕事を愛し生命たぎらせ悩み抜いた時代(とき)

少年たちの綺麗をこころに塗りこめて生き来し吾はいま少年の母

あおあおと虹をたたえた涼しさを時間の暗渠に棄てゆく少年

風に揺れる前髪かるく泳がせて自転車で行くきみの背カバン

瞬きのあいだほどの光彩を天馬に乗せて飛び去る少年期




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