飛翔

染み渡る空の青さに白木蓮は無垢な願いをさらして咲けり

空のなか受けとめるものあるように掌(て)をさしのべる木蓮の花

ささやかな生命を抱えタンポポの綿毛ふんわり空を旅せり

たわむれて綿毛を吹けば散っていく生命のゆくえ誰も知らない

わたくしの心を空へ飛ばせたい地上に居るのが苦しい日には

望みだけ空にただよう日常の重さがわたしの飛翔を拒めば

しがらみのすべてを棄てる覚悟なら翼が生えてくるかもしれぬ

わたしにも守護の天使がついてると昔シスターに教わりました

忘れていたわたしの天使を想うとき ふっと光るあこがれ兆す

友病んで心の底から祈りたくロザリオ一連ささげしあの日

祈ること遠ざけていし砂の心にたちまち湧き出ず清しき泉の

アガペーの満つる泉に浸りいて祈りは自分のためかと怪しむ

病む友さえもわたしを育む愛なのか深く恥じたり浅きこころを

祈ること増えてからだの軽くなり空の近くに居るここちせり

少女の日、わたしの夢はロケットに乗り何万光年の彼方への旅

飛べぬこと知りつ憧れる空はるか。いつ辿りつく、いつ飛びたてる。

遂げられない望みの空をむねに抱き厭かず生きゆく 輝き求めて

なにごとも無きかのように空澄みて雲の流れがわたしに優しい




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