PRDJオフライン版の10年

TRPG::Pathfinder RPG | Posted at 2020-01-01 10:01

PRDJの成果をまとめたオフライン版1を始めて公開したのが2010年1月1日。今日で丁度10年である。

日本におけるパスファインダーRPG界隈は色々と節目なんじゃないかと思う(去年10周年を迎え、第2版を出版した本国もそうだろう)。僕にとってのパスファインダーRPGはオフライン版と共に歩んで来た側面もあるので、ちょっと思い出話としてオフライン版について書き残しておこうと思う。2

1 たまに、オフライン版の内容(訳文)も僕の成果と思ってる人がいますが、大半の翻訳はPRDJに参加している猛者達の成果です。オフライン版はそれを再構築しているだけです。
オフライン版は PRDJ/オフライン用 から入手でき、WEB版は prd.qga.me から利用できます。

2 事実関係は多少誤りが含まれていると思います。

探索せよ:オフライン版の作成と公開

2008年頃にD&D 3.5版の展開が終了し4版がリリースされた。4版はそれまでのD&Dの遺伝子をかなぐり捨て、新しいRPGのスタイルを提案する意欲作であった。多くの人はこの変化を受け入れ、僕も楽しんだ。

とはいえ。僕は3.5版のシステムが大好きで、4版には更に磨きのかかったD&Dを期待していたため、大好きな3.5版で遊び続けることが難しくなる事実に絶望した。古いシステムを訴求し続けることは容易ではないと思えたからである。特に新しいGMの獲得は困難を極める。

しかし、その後パイゾ社が3.5版直系のシステムを『パスファインダーRPG』としてリリース。さらに、ルールをオープン・ゲーム・ライセンスの下、PRD(Pathfinder RPG Reference Document≒パスファインダーRPG参照ルール集)として公開。ウィザーズ・オブ・コースト社がD&D 3.5版のルール概要を公開したSRD(System Reference Documents)に相当するものであるが、SRDではルール解説の事例などが大幅に省かれていたのに対し、PRDの公開範囲は書籍の内容ほぼ丸々という代物であった(もちろん幾らかは省かれている)。その資料を基にPRDJで有志による翻訳が始まり猛者達が次々と翻訳していき瞬く間にコア・ルールブックとベスティアリ―を完訳していった。

パスファインダーRPGのプレイヤーを獲得するには参照性に優れた資料が不可欠と考え、PRDJの翻訳成果をオフラインで活用できるHTMLとして作成。既に常時接続の時代でモバイル機器もかなり普及していたが、Wikiの表示速度は快適とは言い難かった。元が有志の翻訳成果であるため、利益共有の気持ちを込めて公開することにした。

オフライン版の構築にはPerlというプログラミング言語で書かれている自作のプログラムを用いている。元々OCRでテキスト化したD&D 3.5版のルールブックとシナリオを紐づけて参照性を良くするために自作したプログラムがベースになっている。長年改良を加え続けていたため自分としてはそれなりの使い勝手を確保できる自信はあったし、これを流用すれば難なくそこそこの物が作れるだろうと高を括っていた。当初は間違いではなかった。

  • Wikiのリンク構造を再現しようとして悪夢に見舞われたので諦めた。
  • 相互参照が上手く機能しない箇所が散見し、対応には苦慮した。
  • Wikiの構造がある日突然その時点でのオフライン版に不都合な構造に変わり変換に失敗して表示が乱れる事が頻発したので柔軟に対応できるようにプログラムを改造した。
  • 全文検索が欲しいという声があったので無理矢理対応した。
  • 本家に索引機能ができたので無理矢理追加した。
  • GM準備中にテンプレート適用済みクリーチャーのデータを作るのが面倒だったので無理矢理テンプレートを当てる機能を作った。
  • スマートフォン全盛時代になったため無理矢理モバイル表示に対応した。
  • iPhone、iPadではダウンロードしても使えない様子(多分)であったため本末転倒ではあるがオフライン版のオンライン版を作った。
  • 場当たり的に拡張と修正を繰り返して行くうちに表示用のプログラムは混沌とした有様になってしまい修正が不具合を呼ぶ状態に陥っていた。
  • そのため表示用プログラムを全面的に書き直した。
  • パイゾ社主力ラインのサプリメントが次々PRDとして公開され、そして次々完訳されていく。ファイル数がどんどん増えてオフライン版の構築に作業用パソコンが悲鳴を上げだす。文書量増加に伴い相互参照の処理が指数関数的に重たくなっていたのだ。メモリ搭載量8GBなのに10GBくらい消費していた(現在は改良の末6GB程度)。当初15分程度であった構築時間は1時間を超えていた。構築中はWEBを見る事すらできなくなっていたのでパソコンを買換ることにした。
  • 最初は3本程度のプログラムで構築していたが、今では小さいものも含めると10本くらいのプログラムで構築している。
  • 出力するファイルは当初数百程度だったが今は4,000を超えている。

維持にはそれなりの困難が伴った。Googleが破竹の勢いでWebを制覇し始めるちょっと前に3年程在籍したWeb製作会社で憶えたことがこんなに役に立つなんて。プログラミングが嫌3で辞めたのにね。

3 趣味としてのプログラミングは好きです。

協力せよ:プレイ機会の拡大

そんな苦労の甲斐もあって個人で持っているプレイグループでは十分なルール環境が整い、ささやかではあるがパスファインダーRPGで遊び続けることができていた。

元来人見知りが強いため長年イベントやオンライン・セッションに踏み込むことは避けていた。2年ほど前、オンライン中心の団体である『パスファインダー協会日本支部』発足のツイートを目にしたとき、セッション機会を増やすために思い切って参加した。その流れで昨年はDACにも出向いた。出会った人達に『ありがとう』と言われるのがとてもこそばゆい。DACのパスファインダーRPG卓でPCやスマホの画面にオフライン版の画面を見ると更新を続けて良かったと思う。日本でのパスファインダーRPGの普及に多少なり貢献できたのではないかと感じられてとても嬉しかった。

懇親会の席でパスファインダー協会日本支部を立ち上げた方から、オフライン版がなければパスファインダーを続けていなかったし日本支部も立ち上げていなかった、と聞いたときは感無量だった。多分にお世辞も含まれていたことだろうけど、身の回りのRPG仲間のために作ったオフライン版がこれほどたくさんの仲間とセッション機会を生んでくれた礎の一部かもしれない、と思うとなんともいえず幸せな心持になった。

報告せよ:今年もパスファインダー

パスファインダー協会日本支部は徐々に会員数を増やし、セッション数も増えている。2018年~2019年はパスファインダーRPG日本語版の展開が始まった。パイゾ社は2019年に第2版に移行したが協会では今でも第1版で遊んでいる。僕がいつまでパスファインダーRPGで遊んでいるかは判らない。でも昨年は幸せな1年間だった。多分今年も幸せな1年になるはず。この幸せのため今年もオフライン版の更新を続けていこうと思う。


4 『探索せよ』、『協力せよ』、『報告せよ』はパスファインダーの合言葉。

5 『パスファインダー』は所謂『冒険者』的な立場のキャラクターのこと。

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